睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病

心疾患

 睡眠時無呼吸症候群は、心不全、不整脈、突然死など、様々な心疾患との関わりがあります。睡眠時無呼吸症候群が心血管疾患に影響を及ぼす理由は、繰り返す低酸素状態、交感神経の活性化による悪影響、肥満に伴う冠危険因子(高血圧・高脂血症・糖尿病など)の増加などが考えられています。

 狭心症や心筋梗塞のことを冠動脈疾患といいますが、冠動脈疾患になりやすい因子のことを冠危険因子といいます。睡眠時無呼吸症候群の方は、肥満であることも多く、糖尿病、高血圧、高脂血症など冠危険因子を多く持っています。そのため睡眠時無呼吸症候群があると冠動脈疾患になりやすいと報告されています。睡眠時無呼吸症候群を治療することにより冠危険因子を減らすこともできますので冠動脈疾患の発症予防につながると考えられます。

 睡眠時無呼吸症候群は心不全の原因になることもありますが、心不全の約6〜7割に合併し、さらにその予後を悪くします。心不全に合併する睡眠時無呼吸は、閉塞性よりも中枢性のものが多く(睡眠時無呼吸症候群の分類を参照)、心不全の状態と無呼吸の重症度とが関連するといわれています。われわれのデータでも、睡眠時無呼吸症候群を合併していると心不全による再入院率や死亡率が悪化することがわかりました。

 不整脈との関連は意外と深く、睡眠時無呼吸症候群の治療が不整脈自体の治療につながることも多く経験します。心房細動という不整脈は脳梗塞の原因として非常に重要ですが、この不整脈は睡眠時無呼吸症候群に高率に合併するだけではなく、治療に対する抵抗性、再発に大きく関わってきます。頻脈性、徐脈性不整脈ともに原因となり、その治療に多大に影響を与えますので、睡眠時無呼吸症候群の有無が非常に大切になります。

 心臓突然死は、通常午前6〜12時が多いのですが、睡眠時無呼吸症候群を合併すると、午前0〜6時の睡眠時間中に多いと報告されていて、“ポックリ病”との関連も言われています。