睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病

CPAPはやめられる?!

 CPAP療法は、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群の方に適した治療法です。CPAP療法を続けることにより無呼吸が改善し、深い睡眠が得られるようになります。
 ところで、患者さんから、「CPAPはいつまで続けなくてはならないのですか?」という質問をよく耳にします。良い治療法だと理解していても一生続けなくてはならないと思うと不安になる気持ちも理解できます。では、本当に一生続けなくてはならないのでしょうか?やめられることはできないのでしょうか?
 閉塞性睡眠時無呼吸になりやすい体型的特徴は、ずばり肥満です。私たちのデータでも、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群患者さんのうち、70%以上がBMI 25以上と肥満を伴っていました。日本人の頭蓋骨は、白人に比べて面長で顔面の奥行きが浅いのが特徴です。この結果、喉が狭くなりやすく、体重増加が軽度でも閉塞性睡眠時無呼吸を起こしやすくなります。逆に考えると、減量することにより睡眠時無呼吸が改善します。10%の減量により無呼吸指数が26%減少することが報告されています。私たちが診ている患者さんにも、適切な食事・運動療法を行い10kgの減量に成功し無呼吸が改善しCPAPをやめられた方がいます。

【図】CPAPはやめられる

 このようにCPAP療法は、やめられることが可能な治療法といえます。ただし一言に減量といっても成功するのは並大抵のことではありません。さらに睡眠時無呼吸症候群の患者さんは日中の眠気・だるさがあるため、有効に運動を行うことができない場合があります。CPAP療法を行うことにより無呼吸が改善するだけでなく日中の眠気も良くなるため活動性が増し、積極的に運動療法を行うことにもつながります。食事・運動療法に加えCPAP療法を行い無理のない減量の結果、無呼吸も改善しCPAP療法を“卒業”できるようになるのが理想的です。